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単独潜水(ソロダイビング)は危険なのか? パート2

加藤大典ブログ

遊びのダイビングの世界では、バディシステムがあたりまえで安全という神話があります。

本当にそうなのでしょうか?

ダイビングの安全について、本質的に考えてみましょう。

単独潜水(ソロダイビング)は危険なのか? パート1はこちら



前回パート1でお話ししたのは、SDIソロダイバーコースは、単独潜水を推奨しているわけではないということです。

もちろん単独潜水を安全に行いたい人たちの為にノウハウや考え方を提供しています。
つまりこのコースでは本当の自立ダイバーとはなにか理解することができます。

スキルや知識そして経験が豊富だから、ダイビング事故が起きないのではありません。
ダイビングにおける本当の『自己限界範囲』は意外と自身では把握できていないものです。




なぜ単独潜水事故が起きたのか?


昨年もダイビング事故はいくつかありました。
事故率で考えると交通事故や登山事故より低くはありますがゼロではない。
なかには単独潜水の事故がいくつかありました。

とくに単独潜水事故が起きた理由を調べてみて、
結論から言うと、
一番の原因は、『自分の範囲を正しく把握していない』からだと思いました。

単独潜水に限りませんが安全潜水とは、
『限界』ギリギリに挑戦することではなく、
『余裕』をもつことがとても大切です。


テクニカルダイビングでは、ダイビング器材について徹底的なバックアップ性をもたせます。
それは器材だけではなく、スキル的な能力もバックアップ性をもたせることも重要です。
できる能力(限界)の2/3ぐらいの範囲にとどめることで、安全マージンを高くなります。
テクニカルが過剰なほどトレーニングを行うのは、技術的能力に『余裕』をもたせておくためなのです。



テクニカルと同じように単独潜水もこの考え方が必要です。

単独潜水事故でもその他のダイビング事故でも、
ベテランダイバーによくあるパターンは、
現地スタッフや仲間から、
「今日は荒れているから無理しないほうがいいよ」
と忠告をされているのに、

「いや私は大丈夫」
という何の根拠もない自信から無謀なダイビングを行ってしまった結果、
死亡事故につながっています。


ベテランになると何百本、何千本も潜りこんでしまうと、体調管理やトレーニングもろくにしていないのに、
なんの根拠もない自信だけ持っている人たちもいます。
なぜそんな自信があるのかというと、長年いろんな海で潜ってきてなにの問題も起こらなかったから。
経験による根拠のない自信。これが大きな理由だと思います。

日本のダイビングには、安全の為にトレーニングを継続して行うという文化があまりありません。
自然を相手にし、さらに自身の体調やメンタルの影響を受けるものなのに、
コンディションを整えておくという感覚が少ないように感じます。

ルールを破ったり、トレーニングしないことを自慢するような価値観から変わり
練習することはかっこいいことであり、
無謀なダイビングをしたことを武勇伝のように自慢げに語ることを恥ずかしいと思う文化になってほしい。
難易度の高いと思われる海でも『余裕』があり優雅に遊ぶことがかっこいいという考えてもらえるようになったら、
ダイビングは本当の意味で楽しいですし、安全性もとても高くなります。



初心者ダイバーでもベテランダイバーでもダイビングショップのオーナーであっても、
人間です。

体調が悪い時もありますし、コンディションによってはダイバーとしての能力が足りていない場合もあると思います。
心の中ではできていないことに気づいていても、
プライドが邪魔して、自分はできると思いこませてしまっている人もいるのではないでしょうか。


自分の本当の実力を認めること。それは今日、体調が悪いことも含めてです。
大切なのはオープンマインドです。

自分で把握することはとても難しいですから、
ここは本質を理解したインストラクターやトレーナーからの教育を受けることで達成しやすいです。
よって提供側のインストラクターは、講習生がオープンマインドになり、素直にアドバイスができる人間関係を築くことが大切です。

提供側は、お金をいただく立場なので場合によっては、教育的な発言をさけ、おだててもちあげて、できているような気にさせてしまうこともあるかもしれません。
もちろん、自己評価が低く不安を感じている方には、褒めて励まして、本来ある能力を正しく自己評価できるように伝えていくことも大切です。
ダイビング事故を減らすためには、的確な教育を行うことを提供側は考えなくてはいけません。


ダイビング事故を起こしやすい人の特徴はとてもわかりやすいです。

よい人間関係が築けている前提であっても
なにか指摘すると、言い訳が始まります。
これはオープンマインドではありません。

安全ダイビングを行うには、ダイビングに対して、嘘をつかないこと。
人に対しても、
自分に対しても。


自分たちのダイビングの権利を守りたい。


昨年もダイビング事故はいくつかあり、なかには単独潜水の事故がいくつかあったとお話ししました。
こうなると当たり前ですが、やはり単独潜水は危険だから禁止にしようという動きも強まっています。

ある意味では間違いではないですが、
本質的には正しいとはいえません。

交通事故率はダイビング事故率よりも高いのに、車を運転することを世の中が禁止することはありません。
取り締まられるのは危険運転を行う人たちのみです。
車は日常にあるものですから、よく理解されています。

単独潜水が一方的に危険と思われるのは、
ソロダイビングにおける正しいルールが理解されていないからです。

危険と思われる未知のことに対して思考停止させてクローズドにしてしまうことはよくあります。
それは安全管理の考え方のひとつかもしれませんが、ダイビングの可能性をどんどん狭くしてしまいます。

本当は方法はあって解決できることも多いです。
また不測の事態を考慮せず、根拠のない自信(経験則に由来するもの)から無茶をしてしまう人も少なからずいます。
このような行動が、ダイビングの閉鎖や禁止につながる場合も多くあります。

ダイビングを規制するということは、それだけ安全性は高くなりますが、
ダイビングの楽しさをますます狭くしてしまうことでもあります。

単独潜水万歳と言っているのではなく、
まずはソロダイビングの観点から本当の安全潜水は何か考えることによって、
ダイバーはより安全になり、世間からの安全に対する評価も高まり、信用され、
海の管理者たちから、ダイブサイトを奪われることもなくなります。

これは自分たちの楽しみを守るためにも、これから始めるダイバーたちのためにも
規制と管理はとても難しいことですが、ダイビング活動が制限されないように地道に伝えていきたいと思っています。
ぜひこのような活動にご理解ご協力をよろしくお願いいたします。


ルールといえば、ダイビング指導団体の定めた基準があります。
指導団体の基準を分析してみると、それは安全についてよく考えられたものであり、
基準を正しく解釈し用いることで事故率は飛躍的に減ります。
これは提供側のプロフェッショナルにも当てはまりますが、
まずはルールを守ることであるが、ルールを正しく解釈し、
自分自身がその根拠について考えづつけていくことも大切です。



私たちが提供するSDIソロダイバーコースでは、安全性の高い単独潜水方法を学ぶことができます。
SDIが世界で初めて唯一のソロダイバーコースを展開できている最大の理由としては、TDIのテクニカルダイビングに裏付けられた安全ノウハウが活かされているからです。

正しいマインドでダイビングを行うことで、ますますダイビングが楽しくなる。という副産物もついてきます。

自分の能力が怪しい人、自分がオープンマインドかわからない人、
なにかダイビングを行うことに何かしらの不安を感じている人は、
ぜひSDIソロダイバーコースに参加してみてください。
真実がみえてくるかもしれません。



まとめますと、
ダイバーはダイバーの権利を守るため、世間から信頼される行動をとりましょう。
それは
ルールを守ること。
ルールの根拠を考え想定外を想定できるように有益なトレーニングコースに参加すること。

ダイバー側に変革が起こり、世間に対して正しく言動することで、大切なダイビング環境を守り、新しいワクワクするダイビングを行う機会が増えてくると信じています。

このシリーズはまた近いうちに続編書きたいと思います。


written by かとう だいすけ